2018 5/8(火) 西日本新聞朝刊より

川白濁で最大1400戸が稲作断念
宮崎・鹿児島の2市1町 硫黄山噴火

長江川、川内川などから取水する水田で今季の稲作を断念することを決めた宮崎県えびの市と農家側の協議
 
硫黄山からとみられる泥などが流入して白濁したえびの高原の「えびの高原荘」近くの沢=いずれも6日、宮崎県えびの市
 

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宮崎県えびの市の霧島連山・えびの高原(硫黄山)の噴火後、川内川支流の長江川流域が白濁し、川の水から環境基準を超えるヒ素など有害物質が検出されたことを受け、えびの市は6日、流域の農家側に対し、両川などから取水する水田で今季の稲作を断念するよう要請した。農家側は「やむを得ない」として受け入れた。

最大で同市の水田の18%にあたる約460ヘクタール、約650戸が対象。鹿児島県伊佐市と湧水町も計約750戸620ヘクタールで稲作を断念することを2日に決めており、両県2市1町で最大計約1400戸が1080ヘクタールで稲作を断念する見通し。

えびの市や県、農協は6日、水利組合や土地改良区など農家側の代表ら約90人と協議。市側が上流の赤子川と長江川、合流する川内川から取水しないよう要請した。

湧き水などから取水できる地区については、水質検査の結果を待って作付けをするか判断する。

えびの市の霧島地区のコメは業界団体の食味ランキングで「特A」を獲得した実績がある。村岡隆明市長は記者団に「断腸の思いだが、これまで培ってきたブランドに傷をつけないため、農家の皆さんのご理解をいただいた」と話した。

宮崎、鹿児島両県の知事は8日、上京して農家の被害補償などの支援を斎藤健農相に要望する。農林水産省保険監理官室は「農業共済での農家補償は原則作付け後からだが、田植えの準備をしていた農家もあり、補償対象になるか検討する」としている。

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■「火山地下の熱水流入」専門家

宮崎県の霧島連山・えびの高原(硫黄山)の噴火後、長江川など付近の川が白濁した原因について、専門家は「硫酸やヒ素など重金属成分を含み、山の地下にたまっていた高温の温泉水が、火山活動の影響で表出した現象」と分析している。温泉水が川に注いだため、川から取水して稲作をすれば、田んぼが汚染される恐れがあるという。

東京工業大の野上健治教授(地球化学)によると、霧島連山の地下数キロにはマグマだまりがあり、硫黄山付近では、マグマだまりの上部で地下数百メートルに、熱せられた水がたまる「熱水だまり」がある。岩石に含まれる重金属成分などが熱水だまりの温泉水に溶け込み、火山ガスの噴出で温泉水が漏れ出し、一部が川に注いだと考えられるという。

川では4月下旬、コイなど数百匹の魚の死骸が回収された。これは温泉水自体がヒ素など毒性の成分を含むほか、温泉水の流入による河川水の酸性化、水中の酸素濃度の低下といった複合的要因とみられる。

野上教授は「火山活動が続く場合、この現象は収束しない可能性がある。長期化すると橋や護岸などもダメージを受けるかもしれない」と指摘。強酸性の湯が湧出する草津温泉(群馬県)のように、細かく粉砕した石灰水を注入し、温泉水を中和するなど対策が必要だとしている。

=2018/05/08付 西日本新聞朝刊=

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宮崎県えびの市の水田 約2割にあたる約460ヘクタール
鹿児島県伊佐市・姶良郡湧水町の水田 約2割にあたる620ヘクタール

両県2市1町で最大計約1400戸の農家が1080ヘクタールで稲作を断念する見通しです。

1080ヘクタールだと5000トン強のお米が収穫できる面積です。

宮崎県えびの市・鹿児島県伊佐市・鹿児島県姶良郡湧水町は中山間地域で非常に良質で美味しいお米(ヒノヒカリが主体)が生産される地域なので、とても残念ですし30年産米への影響が懸念されます。

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